発起人挨拶

発起人代表 髙杉英利

1 趣 旨

クラウド関連技術に関して、旧国立研究所(現独立行政法人)や大学などの公的機関から学会レベルでの先進的な発表が行われています。分散ファイルシステム(Gfarm)においても、2006年に米国で開催されたハイパフォーマンスコンピューティングにおける先進的ソフトウエアとして表彰されています。しかしながら、これらのソフトウエアが産業界で汎用的に利用されていくには、グローバルなデファクトスタンダードとしての登録から承認を経て、なおかつサポート体制を確立して行く必要があります。このことは、グローバルで成功するソフトウエアのビジネス戦略が国内から海外でなく、最初から直接グローバルを視野に置いた上で展開されること、また、研究者とビジネス展開を推進するクルーとが一体となって事を進めて行ける環境が身近にあることを示唆しています。
他方、我が国では、前述のような成功事例が毎年輩出されている訳ではありません。先進的なソフトウエア研究者が一旦産業界に移り、自ら開発したソフトウエアを社会に広め、たとえ失敗しても、また大学などの研究機関に戻るというような機会は非常に少ないと思われます。従って、公的機関で研究された成果の評価については、学会の場が主軸になり、国際標準化活動、保守サポート活動、普及・セミナー活動に時間がさけていない現状にあります。
つくばOSS技術支援センターは、分散ファイルシステムGfarm を事はじめとして、日本の研究者が開発したOSSを社会に広く展開するための身近なサポート基盤として設立するものです。
また、私たちは、広く社会に対して研究者の開発した分散ファイルシステムおよび日本発の関連OSSの高信頼化検証事業、技術研修、高度な保守・構築支援事業を行うとともに研究者の高度な技術とその心を広く関連の技術者に伝え、他方ユーザのニーズを研究者に伝えることで広く社会に貢献することを目的として活動してまいります。
しかし、現在の任意団体では、責任が不明確で限界を感じ、社会的信用も弱く、契約締結などの経済活動には、法人化が必要であります。
当団体は、営利を目的としていないことから、特定非営利活動法人が適正と考え、設立することといたしました。
その活動を広く市民に支えられながら、継続的に運営していくためにNPO法人を設立するものであります。

2 申請に至るまでの経過

2010年7月2日  東京工業大学でGfarm Workshop開催
2011年6月20日 NTTコミュニケーションズで次世代共有ファイルシステム“Gfarm セミナー”開催
2011年10月~2012年2月(全6回)グリッド協議会の分科会開催
2012年      独立行政法人情報通信研究機構の進めるサイエンスクラウドの分散ファイルシステムのサポート等の活動を実施
2013年1月    特定非営利活動法人設立準備会開催